テーマパークのように作られた町ラスベガス
先日ラスベガスに家族旅行したが、私はラスベガスはまったくのはじめてだった。
ラスベガスは町全体がテーマパークのようで楽しい街だとは、前々から聞いていた。
けれども、実際に行ってみて歩いてみると、想像以上のものであった。
世界各地をテーマにしたアトラクション・ホテルをめぐる楽しみ
ラスベガスには、ラスベガス・ストリップと呼ばれる大通りがある。
このストリップ沿いには、世界各地をテーマにしたホテルが並び、すこしの散策で世界中を旅したかのような楽しい錯覚に陥ることができる。
以下、写真とともに、ひとつひとつ辿ってみよう。
イタリアのリゾートをイメージしたベラッジオ・ホテル
われわれの滞在したベラッジオ・ホテルは、大変美しいホテルである。
ロビーや中庭の散策が素晴らしかったこと、噴水ショーが幻想的で美しかったことは、別の記事にまとめたので、ぜひ読んでもらえれば幸いです。本記事の最後に、関連記事へのリンクを付けます。
ベラッジオ・ホテルは、イタリアのリゾート・タウンをイメージして造ったのだそうだ。
といっても、本家ベラッジオ自体をあまり聞き知らないので、私にとっては居心地のよいホテルであった。
エッフェル塔やルーブルが並ぶパリ・ホテル
が、ホテルを一歩出ると、早速ラスベガスは本領発揮である。
向かいのホテルにはエッフェル塔がそびえ立ち、オペラ座、凱旋門、ルーブルも見える。
ラスベガスのホテルは、それぞれテーマを決めて施工したとのことで、向かいのホテルのテーマはパリなのだ。
ショッピングモールは、空まで人造の中近東の町並み
パリの隣には、屋内ショッピングモールがある。
このモール、ちょっと歩くと突然、ペルシャだろうか、どこか中近東の市場になってしまったのには度肝を抜かれた。
天井にくすんだ色の空の絵がかいてあるのが、ラスベガスの本物の戸外の、太陽がサンサンと輝く真っ青の快晴の空とコントラストをなしていて印象深い。
夢心地で夕暮れのローマを散策できるショッピングモール
ベラッジオの隣は、ローマ帝国である。
シーザーの銅像や戦車が置いてあるもののアトラクションは控えめな感じ。
だが、同じ系列なのだろう、ローマの街並みを模したショッピングモールは、やはり天井に描いてある空のせいなのだろうか、夢のなかを歩いているようだった。
南国をイメージしたホテル・ミラージュでは大迫力の火山ショーが見れる
さらにお隣は、ポリネシアを模したホテル。
前回の記事に書いたが、ここの火山ショーは迫力満点だった。
ホテルのフロントは、巨大水槽に美しい熱帯魚が泳いでいた。
ラスベガスでリアルト橋を渡る―ベネチアン・リゾート・ホテル
ポリネシアの向かいにはなんと、リアルト橋が架かっている。
ベニスに行ってみたいと常々憧れている私は、思いがけずにリアルト橋をわたる機会に恵まれた。
運河にはゴンドラが浮かんでおり、ホテルの正面はサンマルコ広場だ。
傾いたビル群
ベラッジオ・ホテルから大通りを南下していくと、現代的なビル群がある。
この写真ではわかりにくいが、一本一本が別々の方向に傾いて建っている。
部屋の中は水平に作ってあるのだろうか。
ブルックリン橋を渡り、自由の女神に対面する
さらに南下すると、ブルックリン橋を渡る。
すると、自由の女神とエンパイア・ステート・ビルまで建っていた。
MGMは映画のライオン
道路向かいにはMGMホテルがあり、映画と同じくライオンの銅像も立っている。
アーサー王の城
ここから歩道橋を渡ると、中世の城が現れれる。
なんでもアーサー王の城なのだそうだ。
ラスベガスのピラミッド―中にはスフィンクスや神殿、王墓も
そして、このラスベガスのホテル街の南端までほど近いところに、ピラミッドはあった。
ピラミッドの中は、やはりホテルらしいのだが、おかしな形をした巨大建築の中身だから、天井の形がとてもおもしろい。
内部には神殿があり、スフィンクスやオペリスクが建っていた。
そして神殿内では、タイタニックの展示が行われていた模様。
神殿内の展示は見なかったものの、入り口に置いてあったタイタニックの模型を見、この船が氷山にぶつかって沈没したことを聞いて以来、息子はタイタニックに夢中である。
1~2kmの散歩で世界旅行が楽しめる/偽物も数を集めれば人を感動させる総体となる
ラスベガスの町は、どれをとっても作り物だ。
どれ一つをとってもあきらかに偽物だし、子供だましだ。
けれども子供だましであっても、これだけの規模で造られると、圧倒されてしまう。
偽物のパリがそれだけでコジンマリとあったとしても、バカバカしくて到底感動などできないところだ。
しかし、ラスベガス総体としてみると、存分に楽しむことができる、見応え十分である。
せいぜい1~2kmの散歩のうちに、ベラッジオ、パリ、ペルシャ、ローマ、ポリネシア、ベネチア、ニューヨーク、イギリス、カリフォルニア、エジプトをめぐることができるのである。
全部偽物だとわかっていても、否応なく世界中を散歩した楽しい気分になる。
アメリカ人の強健さの源は鈍重なまでの忍耐強さであること
エッフェル塔、リアルト橋、自由の女神の偽物―しかも、模造品なのが見え見えの偽物だ―を造ることに、疑問やばかばかしさを感じたりしなかったのだろうか。
まさかこの町の全体像をはじめから俯瞰しながら作り物のホテルを一軒一軒、建設したのだろうか。
百歩譲ってそうだとしても、興業的な失敗の可能性をどうやって意識から排除しながら建設していたのだろう。
フロリダのキーズ諸島にかかる、100km以上つづく橋がある。
なんの工夫もなく、海中に等間隔に柱を立て、そのうえに道路を敷いただけで100km以上つなげた橋だ。
日本の瀬戸大橋などのような精緻に設計された橋とは対局にある橋だ。
この橋をドライブしたとき、まったく知恵に頼らずに鈍重に途方もない労力を積み重ねて、こうした偉業を成し遂げてしまうアメリカ人って、怖いな、と思った。
(ラスベガスの歴史をぜんぜん勉強してみていないのでまったく見当違いの感想なのかもしれないけれど、)あのときと同じような畏怖を、またアメリカ人に覚えてしまった。
関連記事
更新履歴
- 2021年2月16日 本サイトに移転。節見出しを付け、本文をすこし書き換えた。
- 2016年9月7日 Gooブログ「(旅行記。プエルトリコ、ニューオリンズとラスベガス。ひねもすのたり)」にて公開。
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