年末年始に家族で行ったニューオリンズ旅行のことを、何回かに分けて書いている。
ニューオリンズで発祥したジャズのこと、この町出身だったルイ・アームストロングのことを書いた前回につづき、今回は実際にこの足で散策したニューオリンズの町中で見たジャズのことを書く。
ジャズに関連した空港名、町中のオブジェ、国立歴史公園
ニューオリンズはジャズの発祥地だ。
その歴史は地元でも大切にしているようで、空港や公園はルイ・アームストロングの名を冠しており、町中にはふとジャズミュージシャンをかたどった噴水があったりする。
ニューオリンズ・ジャズ国立歴史公園なるものまである。残念ながら年末年始で休館だったが、博物館だろうか。
(アメリカの国立公園は、見ごたえがあるものが多い。「国立歴史公園」だと、スケールはだいぶ縮小するだろうが、アメリカ国立公園ファンの私としては、閉館していたのが大変残念だった。)
古いスタイルのジャズばかりだと思っていたニューオリンズ
日本を出国する前、妻はジャズ好きの私に向かって、「ジャズ・クラブとか、聴きに行きたい?」と訊いてくれたのである。
たぶん、「あまり苦労しないで入れるなら」という風な当たり障りのない返事をしたのだろうが、正直にいうと、いまさらニューオリンズ・スタイルのジャズを聴いてもなぁ、と思った。
確かにニューオリンズはジャズの発祥地だ。
けれどもジャズの中心地がニューヨークに移ったのは、既に100年近く前のことだ。
以来、ジャズには大革命がおこり、今日のジャズは初期のジャズとはまったく違った音楽になり果てている。
ニューオリンズではいまでも、ニューオリンズ・ジャズとかデキシーランドと呼ぶ、1920年代初頭の演奏スタイルを守っている演奏家がおり、人気を博していると聞く。
が、そうしたお土産物屋さんみたいな音楽を聴いて面白いのかしらん、と思ったのである。
ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードみたいな、ジャズの黄金時代に勇名を馳せ、今日まで現在進行形のジャズを聞かせる名門クラブにこそ行ってみたいのだが。
ニューオリンズでジャズ散策―多彩なジャンルのジャズが演奏されていた‼
ニューオリンズに到着した翌日、さっそくフレンチ・クオーターを散策してみた。
ガイドブックには、ネオンが明るくにぎやかなのがバーボン・ストリート、画廊などが多くあって落ち着いた中でニューオリンズ・スタイルの美しい家並みを堪能したいのなら隣のロイヤル・ストリート、という風に書いてあった。
ロイヤル・ストリートがジャズ・フェスティバルの歩行者天国に‼
早速、お薦めのロイヤル・ストリートを散策してみると、自動車の通行が禁止されて歩行者天国になっていた。
12月29日の木曜日、なんのイベントだったのかはわからないが、毎ブロックごとに路上ミュージシャンが演奏しており、道行く人々が足を止めては聴き入っていた。
(旅行初日のことで、このときの私はずいぶん遠慮がちに、遠目に写真を撮っていたようだ)
ウッド・ベースでなく、チューバがいるバンドばかりだ。
サキソフォンやギターでなく、クラリネットやバンジョーが参加しているのも、ニューオリンズ・ジャズの伝統である。
けれども、演っている音楽はそれぞれだ。
クラリネットとブルース歌唱のミュージシャン
ニューオリンズで初めて見たミュージシャンは、クラリネットを吹きまくってはブルースを唄う女性。
クラリネットも歌唱もよかったのであとで調べてみたら、CDもたくさん出している有名な人みたいだった。Doreen Ketchensというミュージシャン。
チューバ入りのモダン・ジャズ・コンボ
次のブロックでは、チューバが入ったバンドながらモダン・ジャズを演っている。
ジャンルが定かでないバイオリン2重奏
さらに次のブロックでは、バイオリン2人の掛け合いで、ジャズなのか、もっとカントリーみたいな起源の音楽なのか、ジャンルすらも定かでない。
この町では路上パフォーマンスであっても、バンドで演奏している場合が多い。
しかも、路上演奏ながら聞きごたえがあるバンドが多い。
ジャクソン・スクエアやフレンチ・マーケットは路上バンドの出没地
歩行者天国になっていたのはこの日だけだったが、普段からジャクソン・スクエアやフレンチ・マーケットの周り、普通の道路の舗道のあちこちに、バンドが出ているもののようだ。
フレンチ・マーケットの人気モダン・ジャズ・バンド
フレンチ・マーケットに面した通りでは、若いバンドが白熱の演奏で、ずいぶん人だかりができていた。
ジャクソン・スクエアのニューオリンズ・ジャズ
ジャクソン・スクエアに出ていたバンドは、まさに古いニューオリンズ・ジャズを演奏していた。
「聖者の行進」や「セントジェームズ病院」をとても楽しく聞かせてもらった。
雨の歩道には正体不明の打楽器も
雨の舗道では、カントリーみたいな装束の一団も。
雨の中、6歳の息子が落ち着かない中、ろくに音楽が聞けなかったが、一番左の女の人は、一体なんの楽器?
本当は若く新しいジャズが生まれ続けているニューオリンズの町
というわけで、古臭いニューオリンズ・スタイルのジャズばかりが聞こえるのだろうと想像していた町は、さまざまな音楽が、町のいたるところで聞こえてくる素敵な町だった。
もちろん、若くて元気の良い、新しいジャズも聞こえてきた。
(あとで調べてみたら、1980年代以降ジャズ・シーンをけん引しているマルサリス兄弟も、テレンス・ブランチャードも、ニューオリンズの出身なのだそうだ。彼らのジャズなんて、古臭いどころか、新しすぎて逆に私には理解できなかったりする。。。)
雨でも長蛇のプリザーベーション・ホール
私が碌に知りもしないのに「お土産ジャズ・クラブ」とか思っていたのは、プリザーベーション・ホールと言う大変に有名なジャズ・クラブのこと。
雨の中だったが、開演前の長蛇の列であった。
ここのレギュラー・バンドはニューオリンズ・スタイルをいまでも演奏するのだが、海外へ演奏旅行もこなすくらい有名である。
今回は妻が風邪をひき、6歳の息子とふたりで通りかかっただけったけど、見に行きたかったな、やっぱり。。。
更新履歴
- 2021年2月21日 本サイトに移転。節見出しを付けた。
- 2017年1月19日 Gooブログ「(旅行記。プエルトリコ、ニューオリンズとラスベガス。ひねもすのたり)」にて公開。
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