シカゴのフィールド自然史博物館には、人類がはじめてほぼ完全体で発見した恐竜である、ティラノサウルス「スー」の標本が展示されている。
博物館でスーを見た感想と、展示の様子を紹介する。
人類がはじめて完全体で発見した恐竜、ティラノサウルスのスー
今年のお盆休みはプエルトリコに旅行に行く前に、シカゴに住む義兄の家に遊びに行った。
息子が恐竜が大好きなこともあり、シカゴではフィールド・ミュージアムに行った。
フィールド博物館は、ローマ時代の神殿のような柱を配した立派な建物である。
1階ホールの奥に展示されているティラノサウルス、スー
この正面入り口を入り、チケット代を払って入館した1階のホールの奥に、有名なティラノサウルスの化石標本は展示されていた。
このティラノサウルスは「スー」と名付けられている。
人類が初めて完全体で発掘した恐竜化石
有名な理由は、恐竜の全身がほとんど欠損なく発掘された化石であったことだ。
今でもそうなのかは知らないが、スーが発見された1990年代前半には、全身がまとまって見つかった恐竜化石というのは他には皆無だったらしい。
だから、ティラノサウルスの全身骨格がまるまる発見されたのは、専門家たちには驚きだったとのこと。
展示の素晴らしさ―何千万年も前に死んだとは思えない躍動感
フィールド・ミュージアムには過去にも何度か行ったことがあったが、スーは見るたびに感動してしまう。
実物だからと思って見るからというのもあるのかもしれないが、動物としての迫力・躍動感がすごい。
骨格を組んで展示した人たちの努力のおかげなのだろう。
ティラノサウルス発見から展示までの経緯、大きさなど
特別展示の3D映画
今回の訪問では、”Waking the T. rex: the story of Sue”という3D映画を上映していた。
ティラノサウルス「スー」の物語だ。(ポスターくらい写真撮っておけばよかった。。。)
映画は、スーが発見されたときの様子についてのドキュメンタリーだった。
初めて完全体で恐竜の全身の骨が見つかった興奮が、よく伝わる映画だったから、私は大変興味深く見ることができた。
CGで描いた恐竜が動いて闘うようなシーンもあったから、子供も面白くみることができる映画にもなっており、家族みんなで十二分に楽しめた映画でもあった。
ティラノサウルス「スー」の発見、競売、そして展示
スーは1990年にサウスダコタ州にあるバッドランドで発見されたそうだ。
発見者はスー・ヘンドリクソンという女性古生物学者であった。
このティラノサウルスの個体は、発見者の名前を取って、「スー」と名付けられた。
発見後、1997年にスーは競売にかけられ、フィールド博物館が落札した。
落札価格は、760万ドルとのことだから、8億円くらいということである。
そして、博物館で全身を組み立てたところ、現在の姿になったわけである。
2000年に展示が開始したが、初日は1万人が詰めかけたそうである。
全長は12m。
展示は、頭部だけはレプリカで、実物は2階のガラスケースに収まっているとのこと。
体の部分の骨は本物である。
ティラノサウルスのプラスチック模型が製作できるベンディング・マシーン
博物館の片隅には、何ドルかを入れると溶解したプラスチックを型に入れてオモチャを作ることができる装置があった。
家の本棚の飾りにしたらよい思い出になると思って、息子と一緒にやってみた。
私が子供のころのような、尻尾で体を支えないと直立できないゴジラみたいなティラノサウルスが出てきた。
フィールズ・ミュージアムは大きな博物館だ。
その素晴らしい常設展示の数々の中でも、スーは一番の目玉だと言える。
そもそも最近の、両脚だけで直立する、敏捷なティラノサウルスのイメージは、スーなどの骨格を研究したことでわかったものなのだろう。
そのスーを擁する博物館の片隅に、いまも古ぼけたティラノサウルスを作り続けるベンディング・マシーンが稼働していること、大変愉快に思った。
スーの展示の移動について
2021年2月追記
本記事を2017年に書いて以来、フィールド博物館ではスーを2階展示室に移動した。
移動後、スーは見た目も少し変わった。
移動後の2019年に再びスーを見た時の模様を、以下の記事に書いた。合わせて読んでいただければ嬉しいです。
更新履歴
- 2021年2月21日 本サイトに移転。節見出しを付けた。スーの経歴の節を大幅書き換えた。また、最後に追記の節を加えた。
- 2017年9月17日 Gooブログ「(旅行記。プエルトリコ、ニューオリンズとラスベガス。ひねもすのたり)」にて公開。
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