【野鳥観察】子育ての様子を間近で観察、土浦のサギ・コロニー

茨城県

今回は、野生のサギの大群が毎年訪れ、産卵と子育てのために滞在する茨城県土浦市のサギ・コロニーを紹介する。
サギたちの巣にごく近くまで接近できるうえ、いろいろな種類のサギを見ることができるので、通りかかることがあったら、しばし観察してみると大変おもしろい。

本記事では、コロニーの場所をお教えするほか、繁殖期のサギたちの様子を写真を交えて紹介する。コロニー観察のおもしろさが伝われば幸いです。

本記事は2021年に書いたものです。
2022~2023年と2年連続で、サギは例年のコロニーには戻ってきていません。
現状と関連する情報については、本記事最後に「2022年、コロニーにサギが戻って来ない」を書き足しました。興味がある方は参考にしていただければ幸いです。

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土浦のサギ・コロニー

場所とシーズン

県道24号線(土浦学園通り)沿いに、国道6号と交差するバイパスを超えて、東に200メートルほど進んだところに学園大橋という橋が架かっている。
グーグル・マップで「学園大橋」と検索すると一発で見つかる。

学園大橋を走る県道24号線

サギのコロニーは、この橋の北東に位置している。

コロニーは橋の真下まで広がっているため、橋の上の舗道に立つと、サギたちの生態を真上から見下ろす形になる。
ゆっくり間近で観察を楽しむことが出来る。

サギがこの場所に集まるのは、1年のうちでも夏の一時期の間だけである。
私は今年はじめてじっくり観察してみたところで、詳しい時期はわからない。
ただ、繁殖のために来ている様子だから、例年同じ時期(6~7月)に来るのだろうと思う。

コロニーの大きさ(面積と鳥の数)

コロニーは川の土手に沿って、東西に20~30メートル、南北にせいぜい100メートルくらいの広さである。
そこに数百匹の中型の野鳥が集まっている姿は、それだけでも壮観である。

サギの種類

すこし近づいてみると、白いサギだけでなく、黒や橙色の鳥も混じっている。
種類によって暮らし方が違う様子が見受けられるものの、種類ごとに固まるとかでなく、分け隔てなく一緒に暮らしている様子である。

アマサギ

橙色のサギはアマサギという種類で、冬には真っ白に色が変わるのだそうだ。

ゴイサギ

黒い鳥は、首が短いけれどもサギの一種なのだそうで、ゴイサギという種類である。

シラサギたち

シラサギ(白鷺)は単に白いサギの総称だそうで、厳密にはダイサギ、チュウサギ、コサギに種類が分かれるそうである。

これらのサギたちも、クチバシの色が季節によって黒と黄色の間を変化するものもあるとのことで、ややこしい。
今回記事を書く際ににわか勉強しただけでは、私には種類の見分け方が分からなかった。

ただ、飛ぶときに首をのばしたまま飛ぶサギと、首を畳んで飛ぶサギいるのは、きっと種類の違いなんだろうなと思った。

また、同じ白いサギでも、顔が赤くて後頭部がトサカ状になっている次の写真の鳥は、また別の種類なのでしょうね。

コロニーのサギたちの様子

ここからは、私が撮って来た写真を見ながら、コロニーのサギたちの様子を紹介する。

サギの卵、雛たち

このコロニーは繁殖期用の様子である。
シラサギたちの巣では、卵や雛、幼鳥たちを世話する親鳥の様子を見ることができる。

幼鳥の食事

雛や幼鳥の食事は、親鳥が口の中までクチバシを突っ込んで与える。
知識としては知っているが、こんなにゆっくり観察できたのは初めてである。

親鳥を甘噛みする雛たち

食事だけでなく、よくよく見ていると、雛たちが親鳥のクチバシを甘噛みしているときがある。
鳥の雛も、お父さんやお母さんが大好きなんだね!

教育方針は家庭ごとにそれぞれ⁉

雨の日は、雛も含めてみんなずぶ濡れになって過ごしている。
かわいそうだが、自然界はそうしたものだ。

写真が上手に撮れないし...、と思ったが、見に行ってみたら、意外におもしろかった。

おなじ赤ちゃんいるシラサギでも、親鳥が上に乗って雛に雨が当たらないようにしてあげている者もあれば、親鳥が放任する中で雛たちだけで団子になって暖を取って寝ている一家もある。

親鳥の巣への帰還時の着陸の様子

毎年、シーズンの休日には、橋の舗道にカメラマンを見かけることが多い。

今回はじめて見に行ってみた感想は、この場所で写真を撮るのはとても楽しいということである。
なにしろ、何百という親鳥がいるから、常に何匹かが空を飛んでいるような状況で、飛んでいる鳥の写真をたくさん撮れる。

以下は、親鳥が着陸するところから、幼鳥(すでにずいぶん大きく育っている)のもとに歩み寄り、最後は幼鳥が親鳥に甘える様子までの一連の動きを撮影した写真である。

混んでいるので、親鳥は追いかけっこも

数が多いから、ひっきりなしに何匹かの親鳥が飛び回っているのである。

ときには、ご近所さんが同じタイミングで家に向かっているなんてことも起こる。

近所同士で、追い抜き・追い抜かれとか、なんか気を遣いそう。。。

シラサギとは生態が違うのに共生しているゴイサギ

シラサギたちは、木の枝で作った巣の中で過ごし、子育てをしている。
巣は、灌木の天辺よりは地面に近いところに位置する。

同じコロニーで共生しているにしては、ゴイサギはずいぶん生活様式が違う。

灌木の天辺近くに器用にバランスを取りながら留って、あまり動かない。
そして、ほとんどのゴイサギは、ひとりっきりで過ごしている。

時折、翼を広げる姿は美しいが、それはバランスをとるだけのためなのか、同じ灌木の天辺でずっととどまっていて飛び立つことはない。

そんな孤独なゴイサギだが、睦まじく過ごしている夫婦を一対見つけた。

そして、やはり1匹だけ、ゴイサギの赤ちゃんも写真が撮れていた。
体の模様は大人になるにつれて変化するとのことで今はあまり似ていないが、脚で笹の茎に器用につかまっている姿は、間違いなく親譲りの姿勢である。
まん丸になって眠る姿が大変かわいいが、シラサギと比べ、独立心が旺盛なようだ。

まとめ

土浦にあるサギのコロニーについて、紹介した。

  • 場所は、学園大橋の下の川の土手。
  • 時期は、6~7月ごろ(詳しくは他のソースで確認してください)。繁殖期をすごしに来ている様子である。
  • シラサギのほか、ゴイサギ、アマサギも混ざって生活している。

後半では、私が撮った写真を見ながら、コロニー観察の面白さを紹介した。

鳥がなる木は日本でも見ることができる‼ (追記)

一本の木に、大きめな鳥が何百羽ととまる姿、アフリカのドキュメンタリーなどで見て感心していた。
節タイトルで「鳥がなる木」と表現したのは、そのことである。
これまで、日本では小さな鳥でないと、あんなに群れないよな、と思っていた。

この記事を書いて1カ月ほどたった先週(7月半ば)の夕方に、このサギコロニーを通りかかったら、まさにサギコロニーの奥に立っている気が「鳥がなる木」になっていた。
テレビで見たアフリカの木の印象と同じく、壮観である。

2022年、コロニーにサギが戻って来ない

2021年には、6月初旬にはすでにサギでいっぱいだったコロニーは、2022年7月10日現在ではサギが戻ってきていません。巣を営んでいるサギは、一匹も見当たりません。
(この節を書いた後も2022~2023年を通して、サギは学園大橋の例年のコロニーには戻ってきませんでした。)

このことについて、サギ・コロニーが移動しているという目撃情報を見つけたので、確かめてみました。

サギ・コロニーが移動したという情報の検証結果

このことについてネットで検索してみたところ、いくつかの匿名のブログ等で、2022年の土浦のサギコロニーについての情報を見つけました。
2022年5月ごろに、2021年までにコロニーがあった場所より500メートルほど川上に、だいぶ規模が縮小したもののサギのコロニーを目撃したということです。
たとえば、次のブログにそうした目撃情報が紹介されていました。

元のコロニーは桜川にかかる学園大橋のたもとにありました。
目撃証言のあった新コロニーは、おなじ桜川の河原で、500メートルほど上流にある国道6号桜橋の近くです。
写真入りの記事ですし、複数の目撃証言があるので、5月ごろには確かにそうだったのでしょう。

7月10日と17日の2回、目撃のあった場所を見に行ってみました。
サギは一匹もいませんでした。
目撃の記述のあったブログの写真の背景に写りこんだ建物を手掛かりに見に行ったので、場所に間違いはないはずです。
例年、7月には雛がだいぶ成長し大きくなっているものの、まだ子育てを続けている時期です。そんな時期に巣を放棄したのはいったい何があったのか、とても気になります。

元のコロニーのあった学園大橋から上流・下流に向けてそれぞれ3kmほどを川沿いにドライブしてもみました。
やはりどこにも、サギのコロニーは見当たりませんでした。

サギのコロニーが移動することは、異例なこと⁉

私が土浦にサギ・コロニーがあるのを知ったのはもう、10年以上前のこと。毎年注意してみていたわけではないけれど、夏にはいつも、サギのコロニーができることは知っていました。
だから、サギたちは毎年同じ場所にコロニーを作るものだと思い込んでいました。今年に限ってサギたちが来ないのは、だいぶ驚きました。

では、サギが毎年のコロニーの場所に帰ってこないのは、異常なことなのでしょうか⁉

土浦のコロニーのはじまりについて、興味深い証言が見つかりました。(これらも、どちらも匿名で運営されているブログです)。

  • 今年も桜川の「サギ山コロニー」は大盛況!」というブログ記事には、土浦のサギ・コロニーが2021年までの場所にはじめて出現したのは2006年ごろだったことが書いてあります。
  • 土浦市内の鷺(さぎ)のコロニー」というブログ記事では、土浦にサギ・コロニーができる前は、つくば市と桜川市の境界あたりにコロニーがあったとの記述があります。土浦コロニーから見ると、30㎞ほど北、川の上流にあたります。

ですので、なんらかの理由でサギのコロニーが移動することはあるようです。土浦のコロニーも何十年・何百年と続いてきた永続的なものではないということになります。

とはいえ、15年ほど毎年戻って来ていたということは、鳥たちには快適な生活環境だったのでしょう。
そしてなにより、私たち観察者には、真上にある橋の上からじっくり観察できる最高のコロニーでした。

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