ベトナム中部の海沿いに位置するクイニョン。観光地としてはまだ知名度が高くないものの、実際に歩いてみると、リゾート感のある海沿いのホテル街、近代化が進む商業エリア、そして昔ながらの家屋が残るローカルな街並みと、三つの異なる顔を持つ魅力的な都市だと気づかされます。
市中の移動であれば、Grabやタクシーで100~200円程度で移動できる範囲にあり、バイクを借りなくても十分に楽しめます。
この記事では、2024年7月に個人旅行で実際に訪れた体験をもとに、撮影した写真とともにクイニョン市街地の魅力を紹介します。プロのガイドではありませんが、現地を歩いたからこそ見えた空気感を、ありのままにお届けします。
クイニョン市街の3つの特色ある地域
クイニョンは、近年大規模な開発が進むベトナム中南部の都市です。観光地としての整備が進む一方で、街の中を歩いてみると、エリアごとに異なる空気感があることに気づかされます。
2024年夏に実際に訪れて歩き回った印象では、市街地はざっくりと3つの特徴的なエリアに分かれていました:
- 南西のエリア:観光客向けのホテルやレストランが集まり、海沿いのリゾート感が漂う地域
- 中央部の商業地域:グエン・タット・タン通りを中心に栄え、近代化が進む活気あるエリア
- 東側のローカルエリア:都市部ではあるものの、新しい開発が少なく、地元色が色濃く残る地域
このあと、それぞれのエリアについて、写真とともに簡単に紹介していきます。

リゾート感のある南西エリア
南西のエリアには、観光客向けのホテルやレストランが多く集まっています。建物や遊歩道も垢ぬけていて、整ったリゾート風の町並みが広がっています。
クイニョンは、まだ日本人にはあまり馴染みのない旅行先かもしれませんが、日本から訪れる方の中には、この周辺のホテルに滞在する方も少なくないのではないでしょうか。


このエリアには、アメリカの観光地でよく見かけるような、賑やかで垢ぬけた雰囲気のリゾート・レストランが何軒も並んでいます。外観も内装も華やかで、旅気分を盛り上げてくれる空間です。
「クイニョンのおすすめローカルレストラン | 美味しいベトナム大衆料理を堪能!」にも書いたとおり、私自身は地元の庶民的な食堂で食べるのが旅のだいご味だと思っています。でも、こうしたリゾート系のレストランも、雰囲気を楽しむ場所としてはとても魅力的です。

近代化が進む商業エリア
クイニョン市を縦に走る大通り、グエン・タット・タン(Nguyen Tat Thanh)通り沿いには、近代的な商店が立ち並ぶ商業地帯が広がっています。地元の人々の生活を支えるだけでなく、観光客にとっても便利なエリアです。
「クイニョンのおすすめスーパーマーケット2選|豊富な品揃えでお土産や日用品の買い物に最適」でも紹介したCo.opスーパーマーケットはこの通り沿いにあり、食料調達や日用品の買い足しにとても便利。品揃えも豊富で、滞在中に何度も立ち寄りました。

私が宿泊したホテルは、グエン・タット・タン通りの2本西に並行して走る南北の通り沿いにありました。ホテルの向かいでは、40〜50階はありそうな超高層ビルの建設が進んでいて、街の変化と成長を肌で感じる光景でした。

後述するクイニョン・スクエアの北隣では、夜になると夜市が立ち並ぶことがあります。季節や開催状況については定かではありませんが、地元の人々で賑わう様子が見られ、街の夜の雰囲気を感じることができます。

地元色が色濃く残るエリア
クイニョン市の東側には、人口は多いものの、垢ぬけた雰囲気とは少し違う、地元色の濃い街並みが広がっています。高層ビルはほとんどなく、整然とした並木ではなく、雑然と生えた木々が緑を添える、どこか懐かしい風景です。
観光地らしさは控えめですが、こうしたエリアこそ、東南アジアの地方都市ならではの空気感を味わえる場所。日本にはない、異国の生活の匂いが漂う路地を歩くのは、散歩好きにはたまらない時間です。

そして、日中のローカルエリアの道端では、多くの人々が様々な商品を販売しています。
果物や野菜はもちろん、鮮魚や肉の切り売りまで、歩道のあちこちで行われていて、私の目にはとても興味深く映りました。




クイニョン市内の観光スポット・ランドマーク 8選
クイニョンの郊外には、ベトナム中部特有のチャンパ遺跡が多く点在するほか、大仏や仏教寺院、漁村など、見どころがいくつもあります。これら郊外の見どころは別記事で紹介する予定です。
一方で、個人旅行では時間や交通手段の制約から、長距離の移動が難しいこともあるかもしれません。そこで今回は、Grab(シェアライド)で気軽にアクセスできる、クイニョン市内の観光スポットやランドマークを8か所ご紹介します。観光スポットとしての魅力を、⭐の数で5段階評価しました。
「ベトナムのライドシェアアプリGrabの完全活用法」にも紹介した通り、Grabで移動すれば、市内の移動は片道数百円以内です。アプリで目的地を指定するだけで、言葉の壁もほとんどなく、観光客でも安心して利用できます。
私自身が実際に訪れた場所のみの紹介となるため、有名なダム・マーケットなど、未訪問の名所は含まれていません。旅の参考になれば嬉しいです。

クイニョン・スクエア|建国の父を讃える記念物 ⭐⭐⭐
国の父ホー・チ・ミン(本名:グエン・タット・タイン)とその父グエン・シン・サックを讃える記念碑で、高さはなんと15.5メートル。堂々とした立ち姿と背後の石壁のレリーフが、ベトナム近代史の重みを静かに語りかけてきます。
銅像の前は広場になっていて、通りを挟んだ向かい側には市民が集まるイベントスペースもあります。夜にはライトアップされることもあり、地元の人々の憩いの場としても機能しています。
観光地というよりは、歴史的な記念碑としての意味合いが強い場所ですが、市内中心部に位置する非常に目立つランドマークでもあります。

クイニョン・ビーチ ⭐⭐⭐⭐
クイニョン南西部のホテル街が並ぶエリアに沿って、長く続くビーチがあります。広々とした砂浜は開放感があり、遠くには商業地区の高層ビル群が見え、街と自然が共存する風景が広がっています。
私が滞在した2024年7月には、日中の暑さを避けて、早朝や午後遅くにビーチを楽しむ人々の姿が多く見られました。観光客だけでなく地元の人々も訪れていて、静かで穏やかな時間が流れていました。

ロン・カン・パゴダ(Long Khanh Pagoda)|尖塔が印象的な仏教寺院 ⭐⭐⭐⭐
クイニョン市の東側にあるロン・カン・パゴダは、日本では見かけない、尖塔が2つ並ぶ独特な仏教寺院です。クイニョンの観光スポットを紹介するウェブサイトにも時折登場する場所ですが、実際に訪れてみると、観光地というよりは地元の人々の生活に根ざした空間でした。
私が訪れたのは平日の午後遅く。観光客の姿はまったく見かけず、境内では耳が痛くなるほどの大音量でベトナムの大衆音楽が流れていました。建物の中では地元の人々が集まり、何らかのイベントが行われている様子。静粛な寺院を想像していたので少し驚きましたが、日本とは異なる仏教の在り方を感じる、興味深い体験でした。


クイニョン大聖堂|東南アジアのカトリック教会 ⭐⭐⭐
クイニョンの東側の地区に位置するクイニョン大聖堂は、1938年に建立されたカトリック教会です。高さ47メートルの尖塔が空に向かってそびえ立ち、街の中でもひときわ目を引く美しい建築です。
ベトナムでは仏教徒が約80%を占めますが、フランス統治時代の影響もあり、キリスト教徒も一定数存在しています。この大聖堂も、そうした歴史の名残を感じさせる場所のひとつです。
内部は自然光を多く取り入れていて、ヨーロッパの教会に見られるステンドグラスの荘厳な演出とは異なり、明るく開放的な空間が広がっていました。
私が訪れたのは日曜の午前。ちょうどミサが終わった直後だったようで、教会からは多くの人々――特に子どもたち――が出てくるところにすれ違いました。静かな街の一角に、信仰と日常が交差する瞬間がありました。


ビンディン博物館|チャンパ彫刻とベトナムの歴史に触れる ⭐⭐⭐⭐⭐
クイニョンの東部、海岸沿いに位置するビンディン博物館は、クイニョン市が属するビンディン省の歴史と文化を学べる施設です。
館内には、2世紀から19世紀前半までベトナム中部に栄えたチャンパ王国の遺跡から出土した石像が数多く展示されています。ヒンドゥー教の影響を強く受けた彫刻は、私たち日本人の文化とは異なる造形美を持ち、異国の宗教美術に触れる新鮮な体験となりました。できれば、チャンパ遺跡と合わせて訪れたい博物館です。
そのほかにも、地域の伝統芸能に使われる仮面や衣装、ベトナム戦争時代の兵器、ホー・チ・ミンの生涯に関する展示など、ベトナムの歴史と文化を学べる構成になっています。
ビンディン博物館については、別記事「【クイニョン観光】ビンディン博物館でチャンパ彫刻とベトナムの歴史に触れる」で詳しく紹介しています。


タップ・ドイ遺跡 ⭐⭐⭐⭐⭐
クイニョンの周辺には、チャム塔(チャンパ遺跡とも)と呼ばれる地方特有の遺跡が点在しています。
チャム塔はレンガ造りの塔で、12世紀ごろに建設されました。祭祀や宗教儀式に使用されていたと考えられています。
クイニョン市街から最もアクセスが良いのがタップドイ遺跡。市街地の北端に位置し、ビーチ沿いのホテル街からでも4㎞ほど。タクシーや配車アプリをを使えば、気軽に訪れることができます。
敷地は公園のように整備されていて、周囲の町の喧騒が嘘のように静か。
高さ20mの2本の塔は近くで見ると圧倒的な重量感があります。
レンガ文化が東南アジアに根付いていたことを初めて知った驚きと、900年を経た異文化の遺産と対峙する感動がありました。
タップ・ドイを含め、クイニョン近郊のチャム塔観光については、「【クイニョン観光】900年の歴史をもつチャム塔遺跡3選」で詳しく紹介しています。

阮恵(Quang Trung)皇帝の騎馬像|ラウンドアバウトに立つ英雄の姿 ⭐⭐
クイニョン市街の北部には、騎乗した将軍の銅像が立つラウンドアバウトがあります。
銅像の人物は、西山朝の皇帝・阮恵(グエン・フエ)。18世紀に清の侵攻を撃退し、ベトナムを実質的な統一へ導いた英雄として知られています。彼はクイニョン近郊の出身でもあり、地元にとって特別な存在です。
この場所は交通の要所にすぎませんが、ベトナム人たちが尊敬を込めて見上げる将軍の精悍な姿は、一目の価値があります。

米空軍基地跡の広大な公園 ⭐⭐
クイニョン市を縦に貫くグエン・タット・タン(Nguyen Tat Thanh)通り沿いには、Di tích sân bay Quy Nhơn(クイニョン空港跡)と呼ばれる広大な公園があります。
この場所は、ベトナム戦争の間、米空軍の基地が置かれた場所です。現在は、市民の憩いの場所となっています。
公園からは、近くの丘の上に置かれた”WELCOME TO QUY NHON CITY”のサインも見えます。

🧳 まとめ|歩いて見えたクイニョン市街の魅力
ベトナム中部の海沿いに位置するクイニョンは、現在開発が盛んな都市です。そして、歩いてみると三つの異なる顔を持つ都市であることに気づかされます。
- 南西のホテル街では、リゾート感あふれる整った町並みと華やかなレストラン
- 中央部の商業エリアでは、近代化が進む活気ある街の姿
- 東側のローカルエリアでは、昔ながらの生活風景と地元の人々の営み
Grabやタクシーを使えば、これらのエリアを片道100〜200円程度で気軽に移動できます。
以下に、実際に訪れた市街地の観光スポット・ランドマークを⭐5段階で評価した一覧を掲載します。旅の計画や滞在中の参考になれば嬉しいです。
📍 クイニョン市街地の観光スポット・評価一覧
スポット名 | 評価 | 特徴 |
---|---|---|
クイニョン・スクエア | ⭐⭐⭐ | 歴史的記念碑、中心部に位置 |
クイニョン・ビーチ | ⭐⭐⭐⭐ | 開放的な海辺、地元民も利用 |
ロン・カン・パゴダ | ⭐⭐⭐⭐ | 尖塔が印象的、地元密着型 |
クイニョン大聖堂 | ⭐⭐⭐ | 明るく開放的なカトリック教会 |
ビンディン博物館 | ⭐⭐⭐⭐⭐ | チャンパ彫刻と歴史展示が充実 |
タップ・ドイ遺跡 | ⭐⭐⭐⭐⭐ | レンガ塔、静かな公園風の敷地 |
阮恵騎馬像 | ⭐⭐ | ラウンドアバウトに立つ英雄像 |
空軍基地跡公園 | ⭐⭐ | 戦争の記憶と市民の憩いの場 |
実際に歩いた体験をもとにした記録として、少しでも読者の旅のヒントになれば幸いです。
地元の食堂で味わうベトナム料理の魅力については、別記事「クイニョンのおすすめローカルレストラン|美味しいベトナム大衆料理を堪能!」で紹介しています。クイニョン市内の庶民派レストランを中心に、実際に訪れて感じた味や雰囲気をまとめていますので、ぜひ合わせて参考にしてください!
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